店舗立ち退き(明け渡し)問題交渉センター

ケース別で見る店舗立ち退き料の相場と少しでも多くもらう方法

立ち退き料の相場

ある日突然、賃貸人から建物を立て替えるから退去してほしいと言われたら誰でもとまどうと思います。
しかも、引っ越し費用くらいしか払えないと言われたら到底納得できないと思います。

店舗を経営している人にとって、店舗の移転は収入に大きく響くことです。

そこで退去するにしても、

  • 少しでも多くの立ち退き料を請求できないのか?
  • その相場はどれくらいなのか?
  • 今提示されている立ち退き料は妥当な額なのか?

知りたいことはたくさんあると思います。

このページでは、店舗や事務所の賃貸借契約における立ち退き料について、過去の判決を取り上げながら解説したいと思います。

1.立ち退き請求の正当事由

立ち退き料の相場を知る前に、まず明け渡し請求の正当事由について知る必要があります。
なぜなら、そもそも明け渡し請求は、賃貸人の側に正当事由がなければ認められないからです。

どのような理由があれば正当と認められるか?は下記のページで解説しているので参考にしてください。

「店舗やテナントを明け渡して欲しい」と言われたら必ず立ち退く必要があるの?

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2.立ち退き料が請求できるケース

立ち退き料が請求できるケース

それではどのような状況だと立ち退き料が請求できるのか?について解説します。

(1)建物を高度再利用するために建て替える場合

この場合は、賃貸人の一方的な事情であり、正当事由がかなり弱いので高額の立ち退き料を請求することができます。

(2)老朽化している建物を立て替えて高度再利用する場合

建物を高度再利用する場合でも、建物が老朽化している耐震性に問題があるということになると、正当事由は補強されますので立ち退き料は減額されることもあります。

(3)建て替え後の再利用契約がある場合

それほど老朽化していない建物を取り壊して新しいビルに建て替える場合、その新しいビルに賃借人が再入居して店舗を開店できるという契約がある場合であれば、建て替えの間の損失を補償するくらいの立ち退き料の支払いを請求できます。

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3.立ち退き料はどうやって決まる?

立ち退き料はどうやって決まる?

それでは立ち退き料の計算方法について解説します。

立ち退き料は、賃借人に発生する経済的な損失、つまり立ち退きのためにかかった費用及び立ち退きがなかったら得たはずの利益をベースに計算します

店舗や事務所の立ち退き料には、移転経費、借家権価格、営業補償などが含まれます。

(1)移転経費

移転経費とは、引っ越し費用や新店舗で新たな内装工事をするための費用、得意先などに店舗の移転を知らせるための移転通知の費用など立ち退きをするために実際にかかる費用です。

(2)借家権価格

借家権価格とは、建物の資産価値の増加分のうち借家人に配分されるべきものを言います。
借家権価格は「建物」という資産の価値が増加している場合、この増加は賃貸人側の努力だけではなくて借家人の貢献も理由としてあるから、両者に適正に配分するのが合理的であるとして認められているものです。

借家権の計算は、土地家屋調査士の鑑定が必要になります。

なお、判例の中には借家権価格を認めていないものもあるので、必ずしも主張できるものではないということに注意が必要です。

(3)営業補償

営業補償とは、借家からの移転により営業を廃止あるいは一時的に停止せざるをえなくなることによる営業利益の損失を補償するものです。

営業補償には、移転期間中に営業をしていれば得られるはずだった利益や従業員給与補償(従業員が仕事できなかった期間の補償)、得意先喪失補償、新店舗が軌道に乗るまでの一定期間の補償などが含まれますが、事案ごとにどの補償がどの程度認められるかは異なります。

また、長年経営してきた愛着ある店舗を離れなければいけないことに対して慰謝料が認められることもあります

(4)立ち退き料は、正当事由の強弱で変わる

それぞれの事案ごとに具体的に移転費用、借家権価格、営業補償を計算しますが、これを必ずしも満額もらえるわけではありません

賃貸人の側の正当事由が弱ければ多くもらえますが、賃貸人の側の正当事由が強ければかなり減額されます。

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4.立ち退き料の相場

実際には立ち退き料には相場というものはありません。

賃貸人の事情も賃借人の事情もその建物の現況も個々具体的な事案ごとに異なるからです。
反対に言えば正当事由が認められさえすれば、立ち退き料は引き上げることが可能ということになります。

また、大家の正当事由が強ければ、立ち退き料が0円もしくは低額でも明け渡しが認められてしまいます。

とはいえ、先例はたくさんありますからこれまでの判例では、どのような事例でどのくらいの立ち退き料が認められているのかが分かれば参考になると思います。

(1)焼鳥店の事例

焼き鳥店の立ち退き料

賃借人の状況は2階建ての建物の1階部分で約19年焼鳥店を経営しており、直近では、24万円の家賃を払っている。
2階部分には、賃貸人が居住している。

①賃貸人の事情

賃貸人は、建物の2階部分で暮らしていたが高齢で病気になり、介護を受ける必要があることから1階部分を返してもらって住宅に改造して自己居住したい。

②裁判所の判断

賃借人は、長年この店舗で経営していてその収入で生活しているからこの建物を必要としているといえるが、他の店舗でも営業は可能である。

賃貸人も長年この建物の2階に暮らしていて、この建物を必要としている。
1階部分を返してもらって、家族と居住して介護を受けるという必要性も認められる。

そこで、立ち退き料を払えば、正当事由が補完される。

③立ち退き料

180万円
移転実費と一定期間の賃料差額や所得保障が認められました。

(2)プラスチック加工業の場合

プラスチック加工業の立ち退き料

賃借人の状況は、木造平屋建の建物を借りて居住するとともに、プラスチック加工業を営んでいる(住宅兼店舗)。
約30年賃借しており、直前の賃料は5万円である。

①賃貸人の理由

この建物は、慶応年間以前に建てられた非常に古いもので、その後に改築や増築はされているが、老朽化が進み建て替えなければならない時期に来ている。
この建物及び周辺の建物を取り壊して、その敷地を有効利用したい。

②裁判所の判断(高等裁判所)

建物の老朽化から建て替えの必要性は明らかである。

賃借人が安い家賃で借りてこられたのも、賃貸借契約を締結する段階からすでに老朽化した建物だったからであるといえる。

この事案は、本来は立ち退き料がなくても明け渡しの請求を認めてもいい事案であるが、賃貸人が控訴しなかったため1審が決めた立ち退き料をそのまま認めることとする。

③立ち退き料

363万円
立ち退いた後の生活保障の金額として認められました。

(3)建設会社事務所の事例

建設会社事務所の立ち退き料

賃借人の状況は建物のワンフロアを建設会社の事務所として使用している。

賃借期間は10年以上であり、直近の賃料は25万円である。

①賃貸人の理由

不動産会社であり建て替え目的で、この建物及び敷地を取得した。
大規模ビルを建設したい。

②裁判所の判断

借人は、デスクワークの事務所であるから他の場所への移転は容易である。
場所柄、大規模ビルを建てたいという賃貸人の希望にも一定の理由がある。

適切な立ち退き料を払えば、正当事由を補完できる。

③立ち退き料

600万円
家賃の約2年分相当の移転費用、営業補償が認められました。

(4)不動産会社の事例

不動産会社の立ち退き料

賃借人の状況は建物の5階部分で賃借人Aは、不動産管理会社を経営しており賃貸借契約は相当な長さに及んでいる。
直近の賃料は、24万1,500円だった。

建物の4階部分では賃借人Bが、不動産仲介業を行っている。
約20年の賃貸期間で直近の賃料は、21万4,500円だった。

なお、賃借人Aは賃借人Bの100%子会社である。

①賃貸人の理由

賃貸人は、この建物の4、5階以外の部分で結婚式場を経営していたが、4、5階部分も返還を受けて結婚式場のサロンなどとして活用したい。

②裁判所の判断

賃借人の事業は、代替物件への移転が可能なものである。
賃貸人の使用の必要性が賃借人の使用の必要性を上回っているといえる。

ただし、賃貸人の使用の必要性も緊迫性がないので、正当事由としてそれだけでは十分ではないから立ち退き料を払うことによって補完される。

③立ち退き料

賃借人Aが1,100万円、賃借人Bが1,250万円
移転実費等、借家権価格、営業損失の補償をそれぞれに算出しているようです。

(5)事務所として利用している事例

事務所として利用している場合の立ち退き料

賃借人の状況は、7階建の建物のワンフロアを事務所として使用している。
賃借期間は約30年であり、直近の家賃は19万円であった。

①賃貸人の理由

老朽化したビル1棟を競売で取得した。
このビルはかなり腐朽しているため、この賃借人以外に借りている人はいない。

大修繕をするとかなりの費用になるため、建て替えて土地を有効利用したい。

②裁判所の判断

賃借人は、他に移転することが容易であるから賃貸人は、立ち退き料を払えば正当事由を補完できる。

③立ち退き料

1,280万円
借家権価格の約3倍相当の立ち退き料が認められました。
実質的には、移転費用や営業損失が考慮されていると思われます。

(6)高級下着店の事例

高級下着店の立ち退き料

賃借人の状況、高級マンションや外国の大使館などが存在する商業地区のメインストリートに面する建物の1階で高級婦人下着店を40年以上経営していて、2階を倉庫として利用しており毎月賃料を約26万円支払っている。

①賃貸人の理由

建物が老朽化していることから、建て替えをしたい。
建物を高層化することで敷地を有効利用したいし建て替え後は、自己使用の必要性がある。

②裁判所の判断

店舗を移転すると固定客を失うおそれがあり、賃借人の店舗継続の必要性は認められる。

一方、建物は老朽化しているし建物を立て替えて高層化し、敷地の有効利用を図りたいという賃貸人の理由も認めるべきである。
そこで、立ち退き料を払えば賃貸人は、正当事由を備えたと認められる。

③立ち退き料

4,000万円
借家権価格、移転による営業上の損失(特に固定客の喪失によって営業不振ないし、営業停止になるおそれ)移転実費が考慮されています。

(7)歯科医院の事例

歯科医院の立ち退き料

賃借人の状況は、最寄り駅から徒歩15分程度の住宅地で複数の大型マンションが存在する地域で、歯科医院を経営している。
賃借人は約30年間、この建物の1室を賃借しており、直近では月額25万2,000円を支払っている。

①賃貸人の理由

鉄筋コンクリート造の建物は、築40年近くになっており、現在入居しているのは、この歯科医院だけである。

年間の賃料収入は302万4,000円程度であるのに、この土地及び建物の年間の税金の負担が、約840万円になるため賃貸人は毎年赤字である。

耐震診断では、地震の振動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性があると判断されたため、建て替えの必要もある。
そこで建物を取り壊して、分譲マンションを建設したい。

②裁判所の判断

賃借人は、この建物で歯科医院を経営することによって家族を養っているため、建物使用の必要性は高い。
しかし、他の場所で歯科医院を開設することも可能である。

一方、年間賃料と税金の金額を見ると、賃貸人が分譲マンションに建て替えたいと考えることには合理性がある。
建物の耐震性に問題があることも認められる。

そこで立ち退き料を払えば、正当事由を補完できる。

③立ち退き料

6,000万円
移転補償、借家権価格、営業補償(6ヶ月分)が認められました。

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5.立ち退き料を少しでも多くもらう方法

立ち退き料を請求するには、大家さんと話し合いをして、金額について交渉・合意する必要があります。

しかし、人間は自分に関わることについて話し合いをすると、とかく感情的になってしまいがちです。
そこで、当事者同士で話し合いをしているとかえってこじれてしまうということがあります。

また、賃借人にとっては、明渡請求を受けることなど一生にそう何度もあることではないでしょう。
これに対して、不動産をたくさん持っている賃貸人は、明け渡し請求の経験も豊富であったり、経験豊富な不動産屋さんとつながりがあったりする場合が多いものです。

そのため賃借人は、知識と経験の点で賃貸人よりも不利な立場にあります

そして、賃貸人が立ち退き料を提示してくれたとしても、その金額が適切かどうかを自分で判断するのは難しいでしょう。

立ち退き料の算定については、これまでの判例の集積があります。
これまでの判例と比較すれば、どのくらいの立ち退き料をもらえるのかの予測がつきます。

また、借家権割合は、土地家屋調査士さんに鑑定してもらわなければ分かりません。
そこで、立ち退き料に関しては、自己判断せずに専門家に相談することが必要です

6.専門家に依頼した場合のメリット・デメリット

それでは専門家に依頼するとどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?

(1)メリット

  • 相手との話し合いを任せることができる
  • 感情的ではなく、理論的に話をしてもらえる
  • 自分のケースの場合、どのくらいの立ち退き料が適切なのかが分かる。
  • 明け渡し合意書の作成や、訴訟対応などを任せることができる。

(2)デメリット

  • 報酬を払わなければいけないので、相手から支払われた立ち退き料の全額が自分のものになるわけではない。

(3)報酬を支払ったとしてもメリットの方が大きい

実際の報酬額は建物の状況や交渉の難易度によって変わるので、いくらと言えないところですが、支払ったとしても返ってくる額が多くなるので新しい店舗経営に走り出しやすくなります。

7.専門家に依頼した場合、和解で解決することが多い

賃貸人は、何か理由があって明け渡しを求めています。
そのため、早く次の予定に移っていきたいと考えています。

しかし、話し合いがこじれて訴訟になり判決、強制執行まで進むことになるとかなり時間と費用がかかってしまいます。
そのため賃貸人は、ある程度のところで和解に応じることが多くなります。

なお、和解には交渉での和解と訴訟上での和解の2つがあります。

8.立ち退き料交渉の流れ

それでは実際に専門家に依頼した際はどのような流れで交渉が進むのか解説します。

(1)交渉

専門家に依頼した場合、専門家が大家さんと交渉をしてくれます。
立ち退きを急いでいる大家さんであれば、この時点で適切な立ち退き料を払うことで和解に応じることもよくあります。

(2)明け渡し合意書の作成

話し合いがまとまれば、明け渡しの合意書を作成します。
この明け渡しの合意書には、賃貸人は賃借人にいつまでにいくらの立ち退き料を払うかということと賃借人は、賃貸人にいつまでに建物を明け渡すかが記載されます。

このときに、原状回復が必要かどうかは確認する必要があります。
賃貸人が取り壊す予定であれば原状回復は必要ないでしょうし、賃貸人が自己使用する予定であれば原状回復が必要になるかもしれません。

原状回復が必要な場合には、そのことも見込んで立ち退き料を決める必要があります。

(3)訴訟提起

交渉がまとまらなければ、明け渡して欲しいと考えている賃貸人の側が、店舗を明け渡して欲しいという訴訟を起こしてくることになります。

訴訟では、書類の書き方が決まっていたり相手の対応や裁判官の反応を見ながらその事案の論点に対して、的確に対応していくということが必要になったりしますので、専門家に依頼せずに自分で対応するのはかなり難しくなります。

(4)和解勧告

訴訟では、双方の主張がほぼ出尽くして論点が整理された段階で、裁判官が和解勧告をして話し合いに入ります。

和解は裁判官が主導してくれますので、かなり話し合いがしやすい状況になります。

そして、明け渡しをしてほしい大家さんとしてはここからさらに長引くことは避けたいと考えますので、和解に積極的であることが多くなります。
そのため、この時点で和解できて解決に至ることが多いのです。

(5)判決

訴訟上でも和解ができなければ、裁判所が判決を出します。
判決に不服があれば、控訴することもできます。

(6)強制執行

判決が確定しても賃借人が明け渡しをしなければ、強制執行を受けることになります。

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9.次の物件の探し方

賃借人は、交渉をしている間も裁判をしている間も決められた賃料を払って営業を続けることができます。
とはいえ最終的に立ち退き料をもらって明け渡しをすることを考えているのであれば次の物件についても考えておかなければならないでしょう。

次の店舗をどのあたりで開業するかの目途をつけ、移転にどのくらいの費用や時間がかかるかは把握しておく必要があります。

新しい店舗を契約するのは、和解ができてからです。
和解するときには、立ち退き料を払ってもらう日や明け渡し日をよく確認し、計画的に移転を進めていきましょう。

まとめ

賃貸人からそれなりの立ち退き料の提案があった場合「こんなにもらえるのか」と思ってすぐに合意したくなるかもしれません。

しかし、専門家に相談すればもっと高額の立ち退き料をもらえるということが判明するかもしれません。
焦ってはだめです。

賃貸人からの明け渡し通知書や立ち退き料の提示額、賃貸借契約書、そして店舗の売り上げが分かる決算書や確定申告書を持って専門家に相談に行きましょう。

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公開日:
最終更新日:2017/05/01